韓国の大気質 いま
公式のエアコリア(AirKorea)観測所によるPM2.5・PM10(微細粉塵)をリアルタイムで表示し、1時間ごとに更新します。 特に注意したいのはPM2.5。肺の奥まで届くほど小さな粒子です。
まず「単位」をそろえる
天気アプリに出る「AQI 120」と、このページの「35µg/m³」は別のものさしです。AQI(大気質指数)は濃度を0〜500の指数に変換した数字で、換算式は国や事業者によって違います。
韓国でも미세먼지(PM10)・초미세먼지(PM2.5)については、ニュースも街の電光掲示板もµg/m³の実測濃度と4段階の等級で伝えるのが基本です。ただし韓国にも통합대기환경지수(CAI)という0〜500の独自指数があり、エアコリアの画面ではこの数字が大きく出ます。µg/m³の値とは別物なので、三桁の数字を見たら指数のほうだと考えてください。
CAIの区切りは좋음(良い)0〜50・보통(普通)51〜100・나쁨(悪い)101〜250・매우 나쁨(非常に悪い)251〜500です。エアコリアの公式解説によると、二酸化硫黄・一酸化炭素・オゾン・二酸化窒素・PM10・PM2.5の6物質それぞれで点数を出し、いちばん高い点数を全体の指数として使います(「나쁨」以上の物質が二つ以上あるときは、その最高点にさらに加点されます)。ですから、PM2.5が20µg/m³台で落ち着いている日でも、夏場にオゾンが高ければ指数だけが三桁になります。
韓国語の「미세먼지」と「초미세먼지」
韓国では PM10 を미세먼지(ミセモンジ)、PM2.5 を초미세먼지(チョミセモンジ)と呼び分けます。ニュースで「초미세먼지 나쁨」と出たら、PM2.5が「悪い」という意味です。等級は 좋음(良い)・보통(普通)・나쁨(悪い)・매우 나쁨(非常に悪い)の4段階です。
PM10 の区切りは 좋음 ≤30、보통 ≤80、나쁨 ≤150、매우 나쁨 >150(µg/m³)で、PM2.5より数字が大きくなります。PM10の80とPM2.5の80では意味がまったく違うので、どちらの数字を見ているかは必ず確認してください。
もうひとつ、混同しやすい点があります。PM10は「直径10マイクロメートル以下の粒子」という意味なので、PM2.5はPM10の中に含まれています。したがってPM10がPM2.5より小さい数字になることはありません。ただし、両者が同じように上下するわけでもありません。PM10を押し上げるのは主に道路や工事現場の粗い砂ぼこりと春の黄砂で、PM2.5を押し上げるのは車の排気や暖房・工場など「燃やして出るもの」だからです。
実際の見え方でいうと、春に黄砂が来た日は空が黄ばんで見え、車のボンネットがざらつくのにPM2.5は普通ということが起こります。逆に真冬の風のない日は、空が普通に晴れているのにPM2.5だけが静かに上がっていきます。目で見た印象があてにならないのはこの後者のほうで、だからこそ数字を確認する意味があります。
日本の基準と並べてみる
日本のPM2.5の環境基準は1日平均35µg/m³以下(あわせて1年平均15µg/m³以下)で、韓国の「보통(普通)」の上限も35。ちょうど目盛りが重なる位置にあります。ただし日本の基準は1日を平均した値、こちらは観測所の速報値なので、そのまま比べられる数字ではありません。目安として、二桁後半まで上がってきたら長い行列や長時間の散策は別の日に回す、くらいで十分です。
日本で「今日は注意」と感じる水準も並べておくと、体感がつかみやすくなります。日本には環境基準とは別に注意喚起のための暫定的な指針値があり、1日平均70µg/m³を超えると予想される場合に自治体が注意喚起を出す枠組みになっています(2013年の環境省専門家会合で示された値)。韓国側でこれに近い位置にあるのが초미세먼지 주의보(PM2.5注意報)で、1時間平均75µg/m³以上が2時間以上続いたときに発令されます。150µg/m³以上が2時間以上続くと경보(警報)です。つまり70前後という数字は、日本でも韓国でも「そろそろ声がかかる」あたりだと覚えておけば、換算表を持ち歩かなくても判断できます。
季節としては一般に冬から春にかけて濃度が上がりやすく、春は黄砂(황사)が重なることもあります。夏は雨に洗い流されて下がる日が多くなります。日本でも西日本を中心に同じ季節に同じ話題が出るので、時期の感覚はそのまま通じます。ただし「何月だから大丈夫」という決め方はできません。前日が「悪い」でも、ひと晩雨が降れば翌朝には「良い」に戻ります。
日本で見ていたサイトは、韓国では使えない
日本でPM2.5を確認するときによく使われるのが、環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」(soramame.env.go.jp)です。全国の測定局の1時間値を地図で見られる公式サイトですが、載っているのは日本国内の測定局だけなので、ソウルや釜山を開いても何も出てきません。韓国側で同じ役割を担うのが、このページが数字を取っているエアコリア(에어코리아)です。国が運営する公式の観測網という位置づけまで含めて、ちょうど対になる存在だと考えてください。
黄砂についても情報源が分かれます。日本では気象庁が黄砂情報(黄砂解析予測図)を毎日出していて、地表付近(地表から上空1kmまで)の黄砂濃度の分布を、昨日の解析値から3日先の予測値まで見られます。ただしこれは日本への飛来を見るための図なので、韓国滞在中の判断にそのまま使うのは向きません。韓国にいる間は韓国の数字、と切り分けるのが混乱しません。
もうひとつ知っておくと便利なのが、予報と実測は別ものだということです。前日の夜に出る「明日は나쁨」という予報は一日全体をひとまとめにした予測で、このページに出るのはいま、その観測所が測っている値です。予報は「明日の予定の形を決める」ために、実測は「地下鉄をひと駅ぶん歩くかどうか」を決めるために使うと、二つが食い違っていても迷いません。
「나쁨」の日にできること
- マスク:KF80・KF94はコンビニや薬局ですぐ買えます。数字は微粒子の遮断率の目安で、KF94のほうが高性能です。
- 屋内に切り替える:地下鉄駅につながる地下街、百貨店、美術館や博物館は、こういう日のための行き先です。
- コンタクトより眼鏡にして、戻ったら手洗いと洗顔を。
- 体を動かす予定をずらす:走る・坂を登る・山に行くといった予定は、同じ時間でも肺に通る空気の量がまるで違います。南山や北漢山、城郭歩きは翌日以降に回すのがおすすめです。
- 特に気をつけたい人:ぜんそくなど呼吸器や心臓の持病がある方、小さなお子さん、ご高齢の方。同じ数値でも受ける影響が違います。
行き先を入れ替えるときは、韓国の街の作りが味方になります。ソウルの繁華街には地下鉄駅から直接つながる地下商店街(지하상가)があり、屋根のある在来市場やチムジルバン、百貨店の食品売り場も、そのまま半日つぶせる行き先です。「悪い日は一日をあきらめる」のではなく、屋内の予定と屋外の予定を入れ替えると考えると、旅程はほとんど削らずに済みます。
※表示される数値は観測所からの速報値です。この情報は健康状態の判断や診断の代わりにはなりません。ぜんそくなど呼吸器の持病がある方は、医師の指示を優先してください。
よくある質問
황사(黄砂)と미세먼지は同じものですか?
別のものです。황사はモンゴルや中国北部の乾燥地から風で運ばれてくる砂やちりで、粒が大きいためPM10の数値に強く出ます。미세먼지・초미세먼지には、車の排気や暖房、工場など「燃やして出るもの」も含まれます。春には、PM10だけが跳ね上がってPM2.5は普通のまま、という日も起きます。
KF80とKF94はどう使い分ければいいですか?
KF80は微粒子を80%以上、KF94は94%以上遮断する韓国の規格です。数値が高い日や長く屋外にいる日はKF94が安心ですが、遮断率が高いぶん息苦しさを感じる人もいます。顔との間にすき間ができると数字どおりには働かないので、鼻と頬のフィットを優先してください。
同じソウルなのに区によって数値が違うのはなぜですか?
観測所ごとの実測値だからです。大通りの交差点のそばと、少し離れた公園の中では数値が変わります。データは1時間ごとに更新される速報値なので、自分のいる区が高く出ていても、隣の区の値や1〜2時間後の値を見てから予定を組み替えるくらいで十分です。
数値が非常に高い日、街では何か規制がありますか?
韓国には「미세먼지 비상저감조치(非常低減措置)」という仕組みがあり、発令されると発電所の出力調整や公共部門の車両運行制限などが行われます。学校が屋外活動を取りやめることもあります。旅行者が直接規制されるわけではありませんが、発令のニュースが出た日は屋内中心の予定に切り替える目安になります。
비상저감조치は、どれくらいの数値で発令されるのですか?
首都圏(ソウル・仁川・京畿道)の場合、①当日0〜16時のPM2.5平均が50µg/m³を超え、かつ翌日の24時間平均も50µg/m³超と予測される、②当日にPM2.5の注意報か警報が出ていて、翌日も50µg/m³超と予測される、③翌日の24時間平均が75µg/m³超と予測される —— このいずれかに2つ以上の市・道が当てはまるとき、当日17時を基準に発令されます。数値そのものより「翌日も続きそうか」を見ている仕組みなので、発令が出た日はその翌日も高いままの可能性が高いと考えて予定を組むのが実用的です。
日本から持っていくマスクではだめですか?
問題ありません。KF80・KF94は韓国の食品医薬品安全処が定める規格で、KF94は平均0.4µmの粒子を94%以上遮断する性能を指します。日本の使い捨て防じんマスクは労働安全衛生法にもとづく国家検定(JIS T 8151)で区分されていて、粒子捕集効率はDS1が80%以上、DS2が95%以上、DS3が99.9%以上です。試験に使う粒子も方法も違うので「同じ規格」ではありませんが、遮断率の帯で並べるとKF80はDS1、KF94はDS2(米国のN95もこの帯)とほぼ同じ位置にあります。ただしKFマスクは韓国のコンビニ・薬局・スーパー・ダイソーで普通に買えるので、荷物を増やしてまで持参する必要はありません。