割り勘(ワリカン)計算
韓国でごはんをシェア? 合計金額と人数を入れれば、一人あたりの金額がすぐわかります。 うれしいことに、韓国ではチップは不要——表示価格がそのままお会計です。
韓国の会計は「表示価格がすべて」
日本でも飲食店の表示は税込みが原則ですが、店によってはサービス料が別に乗ることがあります。韓国はメニューの表示価格が税込みの総額で、レシートの合計がそのまま支払う額になります。だから割り勘は「合計 ÷ 人数」だけで終わり、この計算機もそれ以上のことをしていません。
ただし例外はあります。ホテルのレストランや一部の高級店では「부가세 별도(VAT別)」「봉사료(サービス料)」と小さく書かれていることがあります。会計額が想像より高いときは、メニューの隅にあるこの2語を探してみてください。
日本の居酒屋のようなお通し代や席料も付きません。多くの食堂では注文した料理に반찬(パンチャン)=小皿のおかずが何品か付いてきて、足りなければ声をかけると足してもらえます。これも別料金にはなりません。裏を返せば、おかず代は最初から料理の値段に織り込まれているということでもあります。
もうひとつ、日本の方がよく取り違えるのが免税(タックスリファンド)です。韓国の還付制度は国外へ持ち出す物品が対象で、店内で食べた食事や飲みものは対象外です。飲食のレシートを空港へ持っていっても戻ってきませんので、「あとで一部返ってくる前提」で一人あたりの金額を決めないでください。
端数(はすう)をどう処理するか
ウォンに小数はありません。3人で₩47,000を割ると1人あたり₩15,666.66…となり、そのままでは払えない金額です。「1,000ウォン単位で切り上げ」を選べば1人₩16,000、集まるのは₩48,000で、余った₩1,000は幹事の手元に残ります。
現金で精算するときに実際に使う硬貨は10・50・100・500ウォンの4種類。1ウォン単位まで合わせようとすると必ず足りなくなるので、切り上げて余りは幹事に、が揉めない方法です。
なぜ1,000ウォン単位なのかというと、韓国のお札はいちばん小さいものが1,000ウォン札だからです。流通しているのは1,000・5,000・10,000・50,000ウォンの4種類で、1,000ウォン単位までそろえておけば硬貨を数えずに済みます。
この計算機に切り上げしか用意していないのも、同じ理由です。4人で₩70,000なら一人₩17,500。切り上げれば一人₩18,000で₩72,000が集まり、₩2,000が多めに残ります。逆に₩17,000へ切り捨てると集まるのは₩68,000で、支払った人が₩2,000を自腹で埋めることになります。多めに集まった分はあとでどうにでもなりますが、足りない分をあとから言い出すのは気まずいものです。だから既定は「多めに集める」側にしてあります。
送金アプリは旅行者には使えないことが多い
韓国の友人同士は、代表者がまとめて払い、残りの人がKakao Pay や Tossで自分の分を送る、という精算をよくします。ただしこれらは韓国の銀行口座と韓国の携帯電話番号があることが前提のサービスで、短期滞在の旅行者が使うのは現実的ではありません。
日本人どうしの旅行なら、韓国では代表者がカードで一括払いし、精算は日本の送金アプリで円のまま済ませるのがいちばん速いです。レジで一人ずつ分けて決済してもらうこともできますが、混み合う時間帯や小さな食堂では断られることもあります(言い方はこのあとまとめます)。
いっぽうで、PayPayの「海外支払いモード」が2025年9月に韓国へ対応しました。PayPayアプリで本人確認(eKYC)を済ませてあれば、店頭にAlipay+またはzero payのマークが出ているお店で、日本にいるときと同じようにコードを見せて支払えます。一人ずつ自分の分だけを払いたいとき、選択肢がひとつ増えたことになります。
ただしレートは確認してください。Alipay+が適用するレートに、PayPayの海外事務手数料3.85%(税込)が上乗せされます(2026年8月時点)。手数料の率も対応店舗も変わりうるので、出発前にアプリ内の案内をご覧ください。金額が大きい会計は、クレジットカードのウォン建て決済のほうが有利になることもあります。
現金は要る? カードは通じる?
韓国はカード決済がとても広く普及していて、少額でもカードで払えます。日本発行のVisa・Mastercardは、大手チェーンやコンビニならほぼ問題なく通ります。一方で、伝統市場の屋台や古い食堂、地方の小さな店は現金のみのことがあるので、割り勘用に少額のウォン現金を持っておくと安心です。
なお、カード端末があるお店が「少額だからカードは困る」と断るのは、韓国では法律違反です。여신전문금융업법(与信専門金融業法)第19条が、カードで払うという理由で決済を断ること、カード利用者を不利に扱うこと、加盟店手数料を客に負担させることを禁じています。金額の下限もありません。ですから「1,000ウォンだけどカードで大丈夫かな」と気を遣う必要はありません。
実際に旅行者がぶつかるのは「断られる」ではなく「そもそも端末がない」お店のほうです。入口やレジまわりに「현금만(現金のみ)」と貼り紙があれば、それが目印です。現金は、コンビニなどにある「Global」表示のATMで日本のカードから引き出せます。ただしATM側の手数料とカード会社の海外利用手数料が別々にかかるので、少額を何度も引き出すより、必要な分をまとめて用意したほうが割安です。
計算機のチップ欄は、チップの習慣がある国から来た同行者と一緒のときのために用意しているものです。韓国だけで使うなら「なし」のままで大丈夫です。※表示される金額はあくまで目安です。実際の請求額は必ずお店のレシートでご確認ください。
「2人前から」——割る前に確かめること
計算が合わない気がするとき、原因は人数ではなくメニューの単位にあることがほとんどです。サムギョプサルやカルビなどの焼き肉、チゲや鍋ものは2인분(2人前)からという店が多く、一人分だけの注文は受け付けてもらえないことがあります。3人で行って2人前を2セット頼めば、頭数と注文数はそもそも一致しません。
ごはん(공기밥)、麺などの追加(사리)、飲みものはたいてい別会計です。すべてを人数で均等に割ると、お酒を飲まない人が損をしたと感じやすい部分でもあります。韓国の友人どうしはあまり気にせず均等に割りますが、気になるときは飲みもの代だけ先に抜いて、残りをこの計算機に入れてください。
席を立つ前に決めておくこと
じつは、割り勘をどうするかはレジに着いてからでは遅いことがあります。韓国では出口近くのレジでまとめて会計するのが基本ですが、それに加えて最近はキオスク(自動注文機)で注文と同時に先払いする店がかなり増えました。先払いの店では席に着く前に会計が終わっているので、誰がどう払うかは注文の前に決めておくことになります。人数分のカードを出せる場面かどうか、店に入った時点で見当をつけておくと慌てずに済みます。
レジで使える言い方は3つ覚えておけば足ります。別々に払うなら「따로 계산해 주세요(タロ ケサネ ジュセヨ)」、まとめて払うなら「같이 계산할게요(カチ ケサナルケヨ)」、レシートが欲しいときは「영수증 주세요(ヨンスジュン ジュセヨ)」です。なお현금영수증(現金領収証)は韓国で所得控除を受ける人のための制度なので、旅行者は普通のレシートで十分です。
よくある質問
支払いはテーブルでするのですか?
多くの食堂では、テーブルではなく出口近くのレジで払います。テーブルに伝票が置かれていればそれを持ってレジへ、なければ注文内容を伝えます。分けて払うかどうかもレジで伝えることになるので、席を立つ前に決めておくとスムーズです。
韓国ならではの割り勘の習慣はありますか?
一次会(1차)・二次会(2차)と店を移りながら、1軒ずつ別の人がまとめて払う形がよくあります。均等に割ることは「N빵(エンパン)=n分の1」と呼ばれ、いつも集まるグループでは「총무(チョンム)」と呼ばれる会計係が代表して払い、あとで精算することもあります。
カード決済で「日本円で払いますか?」と聞かれたら?
ウォン建てを選んでください。その場で円に換算するのはDCC(自国通貨建て決済)と呼ばれるしくみで、店側が用意したレートが使われるため、カード会社の換算より不利になるのが一般的です。
チップは本当に払わなくていいのですか?
はい。韓国ではレストラン・タクシー・ホテルのいずれもチップの習慣がなく、表示価格がそのまま支払い額です。ホテルなど一部の店でサービス料がかかる場合は、伝票に「봉사료」として最初から含まれています。
飲みものだけ別に計算してもらえますか?
レジでは会計をまとめて処理するのが基本なので、品目ごとに分けてもらうのは難しいことが多いです。金額に差をつけたいときは、合計を人数で割ったうえで飲んだ人が少し多めに出す、という形にしたほうが早く終わります。
カードやPayPayで、一人ずつ自分の分を払えますか?
カードなら、レジで金額を伝えて一人ずつ順に決済してもらう形が一般的です。PayPayの海外支払いモードも、Alipay+かzero payのマークがある店なら同じように一人分だけ払えます。ただし「カードでの支払いを断るのは違法」という話と「会計を人数分に分けてもらえるか」は別の問題で、分けられるかどうかは店の運用しだいです。人数が多いときや混み合う時間帯は、代表者が一括で払ってから精算するほうが早く終わります。
チップを渡そうとしたら断られました。失礼だったでしょうか?
いいえ。韓国ではチップを受け取らないのが普通で、テーブルに置いていったお金を追いかけて返してくれることもあります。気持ちを伝えたいときは「잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)=ごちそうさまでした」のひと言のほうがずっとよく届きます。