KTX・韓国鉄道(KORAILパス)ガイド
韓国のKTX(ケーティーエックス)は、世界でも指折りの高速鉄道です。首都ソウルから港町プサン(釜山・プサン)まで、国の端から端をおよそ3時間足らずで結びます。列車は分単位で正確、座席もゆったり。そして——韓国語が話せなくても、コツさえ分かればきっぷはかんたんに予約できます。日本の新幹線に慣れた方なら、乗り方の勘所はすぐつかめるはずです。本記事では、予約の方法から目安料金、そして「KORAILパス(コレイルパス)は本当にお得なのか」までを、円換算の感覚を添えて日本人目線でまとめました。
韓国の鉄道網を1分で
- KTX — 高速鉄道の花形。ソウル ⇄ プサン(釜山・プサン)を約2時間15分〜3時間(多くの列車は約2時間30分)で結び、標準室(一般室)の片道はおよそ60,000ウォン(約6,600〜7,200円)。ほかにカンヌン(江陵・カンヌン/東海岸)、チョンジュ(全州)・クァンジュ(光州)・モクポ(木浦)、ヨス(麗水)方面へも路線が延びています。
- ITX・ムグンファ号(무궁화・ムグンファ/無窮花) — KTXより遅く、その分安い在来線。短い区間の移動や、のんびり車窓の景色を楽しむのに向いています。
- SRT(エスアールティー) — スソ駅(水西・スソ/ソウル南東部)発の、別会社が運行する高速列車。速さはKTXとほぼ同じで料金は少し異なります。江南(カンナム)エリアに泊まるなら便利ですが、後述のKORAILパスの対象外である点に注意してください。
きっぷの買い方
- ネットで — KORAIL(コレイル)の公式サイト「letskorail.com」か、アプリ「Korail Talk(コレイルトーク)」から。どちらも英語に対応し、海外発行のクレジットカードが使えます。予約するとスマホにモバイルチケットが届くので、印刷も窓口での受け取りも不要です。
- 駅で — 窓口や自動券売機でその場で購入できます。主要駅の係員は外国人旅行者の対応に慣れているので安心です。
- 予約のタイミング — 予約はおおむね1か月前に開始します。平日の空いている時間帯はまず満席になりませんが、金曜の夕方・日曜・祝日は混みます。少なくとも数日前には押さえておきましょう。秋夕(チュソク・韓国のお盆)や旧正月(ソルラル)前後の移動日は、できれば避けるのが賢明です。
- 座席 — 標準室(一般室)でも十分快適です。特室(ファーストクラス)は座席が広く静かで、料金は4割ほど高くなります。進行方向と逆向きの席もあり、予約画面で向きを確認できます。
KORAILパス(コレイルパス)とは
KORAILパスは、外国のパスポートを持つ人だけが買える乗り放題パスです。KTXをはじめコレイルの列車に乗り放題ですが、SRTや地下鉄は対象外。ネットで購入し、使う日を選び、座席指定も追加料金なしでできます。
- 使い方が柔軟 — 現在のパスは、選んだ利用日数を「10日間のうち」で自由に使えます(以前のように連続した日である必要はなくなりました)。※ルールや価格は時々変わるため、購入時に必ずご確認ください。
- 大人料金の目安 — 2日券 約131,000ウォン(約14,000〜15,700円)・3日券 約165,000ウォン(約18,000〜19,800円)・4日券 約234,000ウォン(約25,000〜28,000円)・5日券 約244,000ウォン(約26,000〜29,000円)。青少年・子ども料金はこれより安くなります。
パスは「元が取れる」?——正直な計算
- ソウル ⇄ プサン往復 ≈ 120,000ウォン(約13,000〜14,000円)で、2日券よりわずかに安い金額です。移動がこれだけなら、普通にきっぷを買うほうがお得です。
- ここに長距離をもう1本——たとえばプサン→キョンジュ(慶州・キョンジュ)→ソウル、あるいはカンヌン日帰り——を足すと、パスがはっきり有利になってきます。
- 目安:10日以内に長距離を3本以上乗るならパスの勝ち。往復1回だけなら個別のきっぷの勝ち。遅いITX・ムグンファ号だけの日帰りでは、なかなか元は取れません。
先に旅のルートを決めておくと、この計算がぐっとしやすくなります。目的地が2〜3都市に増えそうなら、パスを前向きに検討してよいでしょう。
改札がない?——乗り方の基本
韓国の駅に着いて、日本のような自動改札を探して戸惑う人は少なくありません。コレイルは「信頼+抜き打ち確認」で運行しています。改札を通らずそのままホームへ進み、車内で車掌さんがモバイルチケットを電子的に確認する仕組みです。だから、駅での動き方も少し変わります。
- 行き先ではなく「列車番号」で探す — 発車標には列車番号とホームが並びます。同じ都市行きの列車が数分おきに出ることもあるので、きっぷに書かれた番号と一致するものを探しましょう。
- 号車の位置はホームに書いてある — 足元の号車番号の表示を見て、自分の号車の位置で待ちます。列車はぴたりと止まるので、車内を歩くより早く乗り込めます。
- きっぷは「すぐ見せられる」状態に — モバイルチケットかアプリの画面があれば十分です。もし自分の席に誰かが座っていても、きっぷを見せればOK。たいていは単なる勘違いで、笑顔で解決します。
満席だったときの現実的な代替案
人気の列車は実際に売り切れますが、「満席」でも足止めを食らうことはめったにありません。おすすめの順に挙げます。
- 立席(イプソク・입석)券 — 混雑日は座席が売り切れても立席が売られていることが多く、同じ速い列車にデッキやカフェスペースで乗れます。短い区間なら十分ですが、ソウル〜プサン全区間の立ちっぱなしはさすがに疲れます。
- 次の列車を待つ — 幹線は日中頻繁に走り、次の便が1時間以内のことも。予定変更で席が空くこともあるので、アプリを更新して確認してみましょう。
- 区間を分けて予約する — 直通の席が取れないとき、途中の都市で2区間に分けて予約すると、直通検索では出てこない席が見つかることがあります。
- 列車のランクを下げる — 同じ路線の遅いITXやムグンファ号なら、景色を楽しみつつ着席で(少し遅く)たどり着けます。
- 連休は朝いちで動く — 早朝の列車がいちばん最後まで売れ残ります。目覚まし時計は、いちばん安い「アップグレード」です。
車内マナー——日本と似て、少し違う
- 電話はデッキで — 車両と車両の間のスペースは、まさにこのためにあります。車内では携帯は静かに、声も控えめに。KTXの車内は図書館のように静かで、これがまた心地よいのです(このあたりは日本と共通の感覚です)。
- イヤホンは必ず — 動画や音楽を音を出したまま流すのは、車両中の視線を集める最短ルートです。
- リクライニングはゆっくり、後ろを見てから — 座席はしっかり倒れます。倒す前に、後ろのテーブルと膝の位置を確認するのが礼儀です。
- 停車時は通路を空けて — 乗り降りの時間は短めです。荷物をまとめてから降りるのではなく、あらかじめ準備してさっと降りましょう。
乗る前・乗ってからのちょっとしたコツ
- 荷物は頭上の棚か、車両端の大きな荷物置き場へ。預け入れ荷物の仕組みはなく、重さを量られることもありません。
- 列車はきっかり定刻に出ます。ドアは発車の約1分前に閉まるので、余裕を持って乗り込みましょう。
- 飲み物や軽食は、乗る前に駅で買っておくのが正解。今は車内販売のワゴンはほとんどありません。席で静かに食べるのは、ごく普通のことです。
- 駅はとても広いので、初めてのソウル駅では15〜20分前には着いておくと安心です。
- ネット環境はまだ?——まずはそこから。SIM・eSIMを用意しておくと、予約も乗り換えの下調べもスムーズです。
よくある質問
Q. KTXは事前に予約が必要ですか?
平日の空いている時間帯なら当日でも席が取れることが多いですが、金曜の夕方・日曜・祝日は混むため、少なくとも数日前には押さえておくのがおすすめです。予約はおおむね1か月前から、KORAIL公式サイト(letskorail.com)かアプリ「Korail Talk」で可能で、どちらも英語対応・海外発行クレジットカードに対応しています。秋夕(チュソク)や旧正月(ソルラル)前後の移動日は、できれば避けるのが賢明です。
Q. ソウルからプサンまでKTXでどのくらいかかりますか?
約2時間15分〜3時間で、多くの列車は約2時間30分です。標準室(一般室)の片道はおよそ60,000ウォン(2026年時点の目安で約6,600〜7,200円)です。料金は変わることがあるため、予約時にご確認ください。
Q. KORAILパス(コレイルパス)は買うべきですか?
目安は「10日以内に長距離を3本以上乗るならパスが有利」です。ソウルとプサンの往復だけなら、普通にきっぷを買うほうがわずかに安くなります。KORAILパスは外国のパスポートを持つ人だけが購入でき、SRTや地下鉄は対象外です。価格やルールは時々変わるため、購入時に必ずご確認ください。
Q. 乗りたい列車が満席のときはどうすればいいですか?
混雑日でも立席(イプソク)券が売られていることが多く、同じ速い列車にデッキやカフェスペースで乗れます。ほかにも、次の列車を待つ(幹線は日中頻繁に走ります)、途中の都市で2区間に分けて予約する、遅いITXやムグンファ号に切り替える、といった方法があります。連休は早朝の列車がいちばん最後まで売れ残ります。