韓国のお金と支払い
韓国は日本以上にキャッシュレス化が進んだ国で、海外発行のクレジットカードがほとんどのお店・レストラン・タクシーで使えます。それでも現金(ウォン)が必要になる場面はいくつかあり、さらに、ほぼすべての旅行者が一度は突き付けられる「高くつく罠」も存在します。この記事では、両替からカード、支払いマナーまで、韓国のお金事情を日本人旅行者向けにまとめます。
カードと現金の使い分け — 基本はカード、現金は少しだけ
カードは大型店から小さな商店、コンビニ、タクシー、ほとんどのレストランまで、ほぼどこでも使えます。タッチ決済も広く普及しており、日本のカードもこうした場面で広く通用します。
一方で、現金を用意しておきたいのは次のような場面です。
- 伝統市場や屋台での食べ歩き
- 家族経営の小さな食堂の一部
- Tマネー(T-money)のチャージ
現金が必要になったら、「Global」と表示のあるATMなら海外発行カードで引き出せます。銀行のATMは深夜に利用時間が制限されることがある点だけ、頭に入れておきましょう。
最大の罠「DCC」 — 画面では必ず「ウォン」を選ぶ
カードで支払うとき、端末が「ウォン(KRW)で決済するか、自国通貨(円)で決済するか」を尋ねてくることがあります。答えはいつも同じで、必ずウォン(KRW)を選んでください。
円建てを選ぶと「ダイナミック・カレンシー・コンバージョン(DCC)」という仕組みが働き、見えにくい上乗せレートが適用されます。その差はカード会社自身の換算レートより3〜8%ほど不利になることもあります。これは店頭のカード端末だけでなく、ATMでも同じです。画面に「換算あり(with conversion)」「換算なし(without conversion)」と表示されたら、選ぶのは「換算なし」。カード会社に換算を任せたほうが良いレートになります。
両替はどこでする? — レートの良し悪しと現実解
空港の両替カウンターは便利な反面、レートは概して最も不利です。現金を両替するなら、ソウルの明洞(ミョンドン)など市内の両替所のほうが、はっきり良いレートになることが多いでしょう。
とはいえ多くの人にとっての現実解は、手数料の安いカードで「Global」ATMからウォンを引き出す方法です。シンプルで、両替所を探し回る必要もありません。唯一の注意点は前述のDCCで、ATMの「換算」の提案も同じように断ること。なお為替レートは日々変わるので、両替の前に現在のレートを確認する習慣をつけてください。
もうひとつ大事な原則は、到着直後に大金を両替しないことです。韓国はカード社会なので、大量に両替した人の多くは、帰国時に余ったウォンを損なレートで再両替する羽目になります。使う分だけ、こまめに替えるのが正解です。
出発前5分のカード準備チェックリスト
韓国での支払いトラブルの多くは、日本にいるうちに防げます。出発の1週間前に、次の5点を確認しておきましょう。
- 国際ブランドの異なるカードを2枚以上持つ。1枚がブロックされたり端末に拒否されたりしても、もう1枚ならすんなり通ることがよくあります。財布を失くしたときに共倒れしないよう、別々のバッグに分けて持ちましょう。
- 海外事務手数料を確認する。海外利用のたびに静かに数%を上乗せするカードもあります。該当するなら、それはメインではなく予備に回しましょう。
- 暗証番号(PIN)を確認しておく。一部の端末とほとんどのATMで入力を求められます。「普段はタッチ決済しか使わない」と気づくのが、ATMの前では遅すぎます。
- 渡航通知が必要な銀行なら済ませておく。初日に不正利用と誤検知されてカードが凍結、というのは典型的かつ完全に防げるトラブルです。
- スマホのウォレットにカードを登録する。タッチ決済は広く使え、混んだレジでは明らかに速いです。
カードが断られたときの対処法
良いカードでも、韓国ではたまに弾かれます。残高の問題であることはまれで、原因はたいてい機械側です。典型は無人機で、一部の券売機、セルフ式カフェ、旧型の自動販売機は韓国発行のカードしか受け付けません。韓国のネット通販ももうひとつの壁です。決済システムが現地カードや現地の本人認証を前提にしていることが多く、何度試しても通らないものは通りません。
対処の順番はこうです。まずもう一度試すか、タッチではなくICチップの挿入に切り替える(端末は海外カードに対して気まぐれなことがあります)。無人機に拒否されたら、有人カウンターを探す — 店員さんとカード端末の組み合わせなら、無人機でダメでもほぼ通ります。そして、少額の現金をまさにこういう瞬間のために取っておくこと。行き止まりが「まあいいか」で済むようになります。韓国のサイトでカードが通らない場合は、英語版・国際版の決済ページがないか確認するか、同じものを店頭で買うのが早道です。
支払いマナーと、旅行者がやりがちな失敗
カジュアルな食堂では、席ではなくレジで会計するのが基本です。テーブルに伝票があれば持って行き、なければ座っていた席を指させば伝わります。そしてチップは一切不要です。タクシーでもレストランでもカフェでもホテルでも、余分にお金を置いていくとかえって混乱を招き、店員さんが返しに追いかけてくることさえあります。
割り勘の文化も日本と少し違います。1つの会計をその場で5人分に分けてもらうのではなく、誰かが代表して払い、あとで各自が送金するのが韓国の一般的なやり方です。旅行者なら、交代で払うか、現金で精算し合うのが手軽です。1枚の伝票で4枚のカードを切ってもらえる店も多いのですが、忙しいレジでは敬遠される頼み方だと覚えておきましょう。ちなみにKakao PayやNaver Payといった決済アプリは韓国の銀行口座を作ってから使えるようになるもので、それまでは海外カード+現金でほぼ事足ります。
最後に、旅行者が繰り返してきた失敗を並べておきます。到着直後の大量両替。ATMでの「円建て」ボタン(DCCの罠は買い物とATMの2回襲ってきます — 答えはどちらも「ウォン」です)。カード1枚だけで旅を続けること。小銭を貯め込むこと(コンビニのレジでTマネーのチャージに使えば消化できます)。そして「市場の屋台もどこでもカードが使えるだろう」という思い込み — 使える店は増えましたが、味のある老舗ほど現金のみだったりします。
よくある質問
Q. 現金はいくら持って行けばいいですか?
ほとんどの支払いはカードで済むため、大金は不要です。伝統市場・屋台・Tマネーのチャージ用に少額の現金を持ち、足りなくなったら「Global」ATMで引き出すか市内で両替する、という「使う分だけこまめに」方式が結局いちばん損をしません。レートは日々変わるので、両替の前に現地で確認してください。
Q. 両替は空港と市内、どちらが得ですか?
一般に空港のカウンターは最も不利で、明洞など市内の両替所のほうが良いレートを期待できます。当面の分だけ空港で替え、まとまった両替は市内で。あるいは最初からATMでの引き出しを中心にするのがシンプルです。
Q. チップは本当に要りませんか?
要りません。タクシー、レストラン、カフェ、ホテル、どこにもチップの習慣はありません。置いていってもサービスへの感謝とは受け取られず、忘れ物として返されるのがオチです。会計はレジで済ませれば、それで十分です。
両替手段の比較表 — 空港カウンター・市内両替所・WOWPASS・ATM・カード
上で「空港より市内」「現実解はATM」と書きましたが、ここでは旅行者がウォンを手にする5つの手段を、費用のかかり方・必要なもの・営業時間・注意点の4項目で横並びにします。どの手段も無料ではなく、費用は「手数料」として表示されるより、為替レートの中に隠れていることがほとんどです。為替レートは日々動くため、この表が示すのはレートそのものではなく費用の構造です。各項目は本ページ末尾の出典(公式ページ)に照らして2026年8月23日に確認しました。公式ページ同士で記載が食い違う箇所は、片方を選ばず両方を併記しています。
まず、両替所のレート表の見方です。韓国の表示板には通貨ごとに「買い(Buying)」と「売り(Selling)」の2つの数字が並びます。日本円を渡してウォンを受け取るときに適用されるのは「買い」のほうです。その「買い」レートと、為替アプリで見られる仲値(中間レート)との差を仲値で割れば、その窓口の実質コストが割合で出ます。空港・明洞の店・WOWPASSの画面を比べるときに意味を持つ数字はこれだけです。「手数料無料」と掲げていても仲値より4%低いレートなら、公正なレートに1,000ウォンの手数料を明示する窓口より高くつきます。日本の銀行や空港で円を外貨に替えるときと考え方は同じで、窓口に行く前に為替アプリで仲値を見ておくという一手間が、比較の基準になります。
| 手段 | 費用のかかり方 | 必要なもの・営業時間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 仁川空港の銀行カウンター(KB国民銀行・ウリィ銀行) | 別途の手数料はなく、表示板の「現金買い」レートと仲値の差が費用です。銀行アプリの優遇(KBは米ドルで最大90%優遇と案内)は外国人・在外韓国人は利用できないため、旅行者は窓口そのままのレートになります(KB Think、2026年8月23日確認)。 | 外国人はパスポート。多くのカウンターは06:00〜22:00。ウリィ銀行は第1ターミナルに、airport.kr上で00:00〜24:00と記載された両替所が2か所のあります(場所は現地案内で確認)。KBの第1ターミナル到着階B出口のカウンターは24時間(KB・airport.krの両方に記載)。 | 便利ですが、市内の表示板より有利になることはありません。初日に使う分だけ替えるのが基本です。 |
| 市内の認可両替所(例:ソウル市内の両替所) | 表示板のレートがそのまま費用です。ソウル市の案内ページは店が手数料を上乗せするかどうかに触れていないため、現金を渡す前に「手数料はありますか」と一言確認を。 | パスポートまたは外国人登録証が必要。営業時間はおおむね06:00〜21:00で「店舗により異なる」(ソウル市)。 | 1回の取引は米ドル換算1万ドルまで。それを超える額は税関申告が必要です(ソウル市)。旧デザインの紙幣は断られることがあります(VISITKOREA)。 |
| WOWPASSの端末(プリペイドカード) | 初回発行時に会員費が1回だけかかります。サービス案内では5,000ウォン、公式FAQでは6,000ウォンと記載が異なるため、6,000ウォンを見込んで端末で確認してください。チャージ手数料の有無は端末の画面で確認してください。費用は画面に表示されるWOWPASS独自のレートです。カードからの現金引き出しは1回1,000ウォン、1回あたり上限10万ウォン。 | 発行にはパスポートと現金。端末は仁川空港第1・第2ターミナル、金浦空港、駅・ホテル・商業施設など(サービス案内では多数)。営業時間は設置場所の建物に準じます。 | 1日のチャージ上限200万ウォン、カード残高上限100万ウォン、対応16通貨。端末のレートでウォンを買う形になるので、紙幣を入れる前に近くの両替所の表示板と見比べてください。 |
| 「Global」ATMで日本のカードから引き出す | カードブランドの海外利用手数料は、VisaとMastercardでおおむね1%(GSA SmartPayの資料では米国政府カードプログラム向けに1.0%と記載。一般向けカードは異なる場合があります)。これに日本のカード会社が設定する海外ATM手数料・海外事務手数料が加わり、こちらのほうが大きいことが普通です。ATM機自体の手数料は出典に記載がないため、確定前に画面で確認してください。 | カードと暗証番号のみで、パスポートは不要。利用時間は設置場所によるため、深夜の利用は事前確認を。 | 「換算あり(with conversion)」は断り、必ずKRWを選びます(上で説明したDCCです)。1回の引き出し上限は機械ごとに異なり、画面に表示されます。 |
| 現金を持たずカードで払う | ブランドの換算手数料がおおむね1%(Visa/Mastercard)、それに日本のカード会社の海外事務手数料が加わります。通常はカード会社側の手数料のほうが大きいので、出発前にご自身のカードの条件を確認してください。海外手数料のないカードなら、10万ウォンの支払いでおよそ1,000ウォンの負担で、現金を持ち歩く必要もありません。 | 本人確認書類は不要。カードが使える店なら時間を問いません。 | 端末では必ずKRWを選択。屋台やTマネーのチャージ用に少額の現金は残しておきましょう。 |
表の中の1か所は誤記ではなく、公式ページ同士の食い違いをそのまま載せたものです。WOWPASSの会員費はサービス案内とFAQで金額が違います。両方の値を記し、現地での確認をお願いしています。
どの旅行者にどの手段が向くか
日本円の現金を持って到着し、ソウルに2日以上滞在するなら、いちばん安く済むのは「空港では少額(空港鉄道・食事1回・Tマネーのチャージ分)だけ替え、残りはパスポートを持って市内の認可両替所で替える」という組み合わせです。現金をなるべく持ちたくない方は、海外手数料のないカードを中心に、必要なときだけATMで引き出すのが、費用がほぼブランドの手数料だけで済み、手間も最小です。WOWPASSは、支払いと交通を1枚で済ませたい方で、1回きりの会員費を気にしないなら選択肢になります。ただし短い旅行では、会員費が両替額に対して大きな割合になるため、向いていません。
深夜に到着する場合、ウリィ銀行は第1ターミナルにairport.kr上で24時間と記載された両替所があります。もっとも、「Global」ATMなら並ばずに同じ役目を果たします。換算の提案を断ることだけ忘れないでください。
どの手段でも共通する2つのこと
ひとつめは本人確認です。銀行も空港カウンターも認可両替所も、両替の前にパスポート(または外国人登録証)の提示を求めます。パスポートは預け荷物ではなく手荷物に入れておいてください。ふたつめは画面に出る通貨の質問です。ATMでもカード端末でもWOWPASSの端末でも、安く済むのは常に「ウォン」の選択肢で、「便利そうに見える円建て」は加盟店やATM側が決める上乗せレートです。このページのレート・手数料・営業時間は2026年8月23日に確認したもので、今後変わります。表は「費用がどこに隠れているか」の地図として使い、最終的な数字は窓口の表示板か画面で確かめてください。
出典: KB Think — 仁川空港両替ガイド(カウンター営業時間・アプリ事前申込の対象) · KB国民銀行 — 仁川空港両替所の場所と営業時間 · 仁川国際空港 — 銀行・両替施設(銀行別の営業時間) · ソウル特別市 — 両替案内(営業時間・本人確認・1万ドル上限) · VISITKOREA — 韓国の通貨と両替情報(旧紙幣について) · WOWPASS — サービス案内(料金・上限・対応通貨・設置場所) · WOWPASS — 公式FAQ(会員費・チャージと引き出しの上限) · GSA SmartPay Smart Bulletin 007 — 外貨換算(Visa ISA・Mastercardの海外利用手数料、DCC) (確認 2026-08-23)
執筆・管理:OPDADA(韓国在住)· 最終確認 2026年8月 · 誤りにお気づきの方はお知らせください。本ページは一般的な情報であり、医療・法律・税務・投資に関する助言ではありません。制度・料金・日程は変わるため、実際の判断の前に公式情報をご確認ください。